タダコピ

「うあ。やべ。哲学の試験明日か。何にもしてね。」
「ノート持込可でしょ?」
「まじ?貸して。」
「は?今?学校行けばタダコピあるんだから明日やんなよ。」
「なにそれ?」
「それすら知らないの?今コピー機の前の行列はタダコピだよ。」
「だから何だよ。それ。タダなの?」
「うん。タダなの。
コピー用紙の裏面が色んな企業の広告になってるの。
だからその広告収入で無料にしてるってわけ。」
「まじで?」
「もともとは学生ベンチャーらしいよ。
そのビジネスモデルを構築した会社が運営してるみたい。
今どんどん設置する大学が増えているんだって。」
「はーん。」
「完全学生対象。キャンパスという特別なエリア限定。学生がいる時間帯に必ず見てもらえる。熟読してもらえる。
ってのを4大メリットにスポンサー獲得しているみたいよ。」
「そうだよな。授業中はヒマで見るし、結構コピーっていつまでも持ってるものが多いもんな。で、タダか。
よし。明日にする。」
「早めに行かないと並ぶよ。」


■ひとこと
「学生にはタダ。スポンサーにはじっくり読んでもらえるっていうまさに絶妙なマッチング。
で、肝心の本文が読みづらくなったりしないの?」
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